文字サイズ
無料相談のお問合せはこちら

全国対応 | 24H受付 | 土日も相談可能
初回60分まで無料法律相談実施中!

法コラム

家主と地主×弁護士法人法律事務所オーセンス

家主と地主 第1回第36号

消費者契約法の適用を視野に入れた契約書

-- 賃貸借契約とは

民法では、貸主が、借主に部屋を使用収益させることを約束して、借主はこれに対して賃料を払うことを約束すれば、賃貸借契約の効力が生じるとされています(民法601条)。部屋を使用収益させるというのは、借主が、部屋を利用するにあたり、物理的・精神的にその利用を妨げないよう積極的に配慮するということです。これにより、借主が部屋を利用するために必要な修繕義務(民法606条)が貸主に生じるのはもちろんですが、騒音などで、第三者が借主の平穏な生活が侵害されていれば、その侵害を排除する義務も発生します(大阪地裁判決 平成12年7月25日)。

反対に借主は、賃料支払いのほか、社会通念上求められるレベルで、部屋を保管し、返還する義務、いわゆる善管注意義務が生じます(民法400条)。背信性のある無断増改築や部屋を棄損、破損させることは善管注意義務違反になります。また、借主が部屋で自殺した場合も善管注意義務の不履行とされ、保証人や相続人に損害賠償責任が生じます(東京地裁判決 平成22年9月2日)。

-- 消費者契約法では個人家主も事業者と定義

消費者契約法は、平成12年に成立し、平成13年4月1日に施行された新しい法律です。この法律は、労働契約以外のすべての事業者と消費者間の契約に適用されます(消費者契約法第2条3項、第48条)。借主が個人で事業用として借りる場合でなければ、借主は消費者にあたります。(消費者契約法2条1項)貸主に関しては、不動産会社が事業者であることは明白ですが、個人の大家さんが事業者なのかどうかについて問題となります。消費者契約法では、事業のために契約の当事者となる場合における個人も事業者と定義しており、反復継続して賃貸をしていればその行為は事業であると考えられるため、このような個人の大家さんも事業者にあたると考えられます(消費者契約法第2条2項)。よって、このような個人の大家さんと個人借主が、事業用目的でない部屋について賃貸借契約を締結すれば、消費者契約にあたり、その賃貸借契約には消費者契約法が適用されます。

-- 情報格差・交渉力格差による消費者への不当な契約防止

消費者契約法は、事業者と消費者との間には情報格差、交渉格差があるという前提で、事業者が不当な手段で消費者に契約を締結させた場合に、消費者がその取引を取り消すことを認めています(消費者契約法4条)。また、事業者の損害賠償責任を免除する条項(消費者契約法8条)、消費者に平均的損害以上の損害賠償予定・違約金を課す条項(消費者契約法9条)、消費者の利益を不当に害することとなる条項を全部または一部を無効とする条項(消費者契約法10条)は、法的に無効だと定められています。

-- 10条で契約が無効とされる2つの要件に注意が必要

消費者契約法10条は、①「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって」、かつ、②「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」と定めています。条文の中にある公の秩序に関しない規定とは、任意規定を指しています。任意規定とは、当事者間で合意すれば、排除できる規定のことをいいます。たとえば、民法614条では、「建物については毎月末に支払わなければならない」と賃料の後払いを規定していますが、貸主と借主が合意すれば、賃料の前払いとすることもでき、このような規定を任意規定といいます。次に民法第1条第2項とは、信義誠実の原則のことです。つまりは、賃貸借契約書の条項のうち、消費者契約法10条が適用され、無効である条項というには、①民法、商法などの任意規定を適用した場合に比べ、消費者の権利を制限し、または義務を加重している契約条項であり、かつ②信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害している条項であるという2つの要件が同時に必要ということになります。

-- 消費者の主張の要点を貸主は理解して紛争防止

更新料特約(大阪高裁判決 平成21年10月29日)をはじめ、原状回復費特約(大阪高裁判決 平成16年12月17日)、敷引特約(最高裁判決 平成23年3月24日)など、賃貸借契約書の特約について争われた裁判での消費者側の主張は、民法90条及び消費者契約法10条に反し、無効だとするものがほとんどです。消費者側からは、賃貸借契約における賃料以外の金員は、すべて消費者契約法10条により無効だという主張まで出されているようです。

このような私的自治・契約自由の原則を軽視した消費者保護の流れは、少し行き過ぎであるとは思いますが、貸主側としては、消費者側の主張ポイントについて、しっかりと理解しておくべきでしょう。そして、賃貸借契約を締結する際には、賃貸借契約書の各条項に内在する消費者契約法上の紛争リスクを事前に理解・把握しておくことで、実際に紛争が生じた場合に、その紛争が賃貸経営に及ぼす影響を的確に予測することができ、より合理的かつ安定的な賃貸経営が可能になるといえます。

いまさら聞けない基本知識

-- 賃貸借契約書

家賃滞納の長期化リスクを最小限にするためには、素早い対応がとても重要です。家賃滞納の事実をどれだけ早く察知して、どれだけ迅速に賃借人に対して連絡できるかで、賃借人に与える心理的プレッシャーは全く違ってきます。

当然、早い段階で連絡をしたほうが、賃借人は、「少し滞納しただけでも、賃貸人は待ってくれないんだな。賃貸人から催促の連絡を受けるのは、気分のよいものではないから、次からは遅れずに払おう。」という気持ちになるものです。「家賃入金の2、3日後に入金確認して、お金が入っていなかったら督促すればいいじゃないか。」という賃貸人もいますが、家賃支払日から2、3日たっても、賃貸人から何の連絡もない場合には、賃借人は、「2、3日の滞納であれば許されるんだ。」というふうに思ってしまい、心理的な余裕を賃借人に与えてしまうことになります。この心理的な余裕が、長期滞納という最悪の結果につながる一因となってしまうのです。滞納初期の段階に連絡をすることは、簡単に行うことができるにもかかわらず、極めて効果の高い長期滞納防止方法といえますので、ぜひ実行するようにしてください。


-- 賃貸借契約書の種類

日本では、契約自由の原則から貸主、借主の意思に応じて契約内容を公序良俗に反しない限り(民法90条)、自由に決めることができます。したがって、貸主、借主が違えば契約書も違うということで、様々な内容の賃貸借契約書が作成されております。条項数でいえば、40条を超えるものから、10条に満たないものまであります。

消費者契約法の2本柱

◆ 不適切な勧誘行為等による契約 ⇒ 取消し

①重要事項についての「不実告知」(消費者契約法第4条第1項1号)
⇒ ウソをいう。
②契約の目的となるものに関し、「断定的判断の提供」(消費者契約法第4条第1項2号)
⇒ 確実に儲かるとの話をした。
③重要事項又は重要事項に関連する事項についての「不利益事実の不告知」(消費者契約法第4条第2項)
⇒ 利益になることは伝えたが、不利益になることはわざと伝えなかった。
④「困惑」による契約
(1)不退去(消費者契約法第4条第3項第1号)⇒ 自宅や勤務先を訪問に押しかけ、帰ってくれなどと言われたにもかかわらず帰らなかった。 (2)退去妨害(消費者契約法第4条第3項第2号)⇒ 消費者が、帰りたいなどと言ったのに帰らせなかった。

◆ 不当な契約条項 ⇒ 無効

①事業者の損害賠償責任を免除する条項(消費者契約法第8条)
⇒ 事業者は一切賠償責任を負わないものとする条項
②消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項(消費者契約法第9条)
⇒ 法外なキャンセル料や、年利14.6%を超える遅延損害金を規定した条項
③消費者の利益を一方的に害する条項(消費者契約法第10条)
⇒ 賃貸借契約において事業者が賃料や更新料を一方的に変更できるとする条項

執筆者

元榮 太一郎 代表弁護士

元榮 太一郎 代表弁護士(第二東京弁護士会所属)

プロフィール

バッグナンバー


セミナー実績

  • 不動産街頭無料相談会
    公益社団法人全日本不動産協会 東京都本部城南支部「不動産街頭無料相談会」森田雅也弁護士、嶋田葉月弁護士
  • 不動産街頭無料相談会
    公益社団法人全日本不動産協会 東京都本部多摩北支部「不動産街頭無料相談会」森田雅也弁護士
  • 不動産街頭無料相談会
    公益社団法人全日本不動産協会 東京都本部城南支部「不動産街頭無料相談会」竹中恵弁護士、嶋田葉月弁護士
詳しく見る
tel:0120-888-737 お問合せはこちら
無料相談のお問合せはこちら

全国対応 | 24H受付 | 土日も相談可能
初回60分まで無料法律相談実施中!