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法コラム

家主と地主×弁護士法人法律事務所オーセンス

家主と地主 第2回第37号

震災時における契約消滅の可否

今年3月11日に起きた東日本大震災の影響が私たちの生活の様々な場面で発生しています。貸主と借主との関係も例外ではありません。震災により貸主と借主の間の法律関係に生じた問題の一つとして、地震そのもの、これに伴う火災、もしくは津波等で賃借していた建物が何らかの損傷を受けた場合が挙げられます。具体的には、賃貸借の目的物自体、または賃貸借の目的物が土地である場合において建築された建物が損傷した場合に、賃貸借契約が消滅するのか否か、消滅しない場合には貸主にどのような義務が発生するか等が問題となります。

以下、建物の場合と土地の場合についてそれぞれ説明していきます。

建物の場合損傷の程度が滅失かどうかがカギ

建物の場合でも、損傷の程度が「滅失」にあたるか否かにより結論が変わってきます。裁判所としても基準を明示しているわけではありませんが、①建物の損傷の程度(賃借目的物の主要な部分が焼失して賃貸借の趣旨が達成されない程度に達しているかどうか)と②経済的観点(通常の費用で修復可能かどうか)を踏まえて判断していると考えられています。

具体的には、建物が物理的に倒壊した場合のみならず、建物が物理的には倒壊しなくとも、社会経済的に見て、もはや建物としての利用価値(効用)を有しない場合も含むことになります。

滅失した場合、契約は終了

消費者契約法は、事業者と消費者との間には情報格差、交渉格差があるという前提で、事業者が不当な手段で消費者に契約を締結させた場合に、消費者がその取引を取り消すことを認めています(消費者契約法4条)。また、事業者の損害賠償責任を免除する条項(消費者契約法8条)、消費者に平均的損害以上の損害賠償予定・違約金を課す条項(消費者契約法9条)、消費者の利益を不当に害することとなる条項を全部または一部を無効とする条項(消費者契約法10条)は、法的に無効だと定められています。

もっとも、政令により指定された一定の地域(指定地域)に罹災都市借地借家臨時処理法(以下、「罹災法」といいます。)が適用される場合には、建物借主に以下の権利が付与されることになります。この限度で、貸主の権利は制限されます。

1 正当事由がない限り、拒否できない「優先借地権」

滅失した建物の借主は、貸主に対して、当該政令施行の日から2年以内に申し出ることによって、相当な条件で借地権を優先的に取得することができます(同法第2条第1項)。この場合、貸主は、3週間以内に拒絶しないと承諾したものとされてしまいます(同法第2条第2項)。

また、貸主は、自らその土地を使用する必要性があるなどの正当事由がない限り、拒絶できないこととなっています(同法第2条第3項)。

借地の保証金、地代について当事者間に協議が整わないときには、裁判所が鑑定委員会の意見を聴いたうえでこれらを定めることとなります(同法第15条)。

マンションのように借主が多数いて、数人が借地の申出をして、その土地の割当について当事者に協議がつかないときには、判断が困難ではありますが、裁判所が割当することとなります(同法第16条)。

2 建替え時に借家人に有効な「優先借家権」

滅失した建物の借家人は、その建物が建っていた土地に新たに築造された建物について、借家の申出をすることによって相当な借家条件でその建物を優先的に賃借することができます(同法第14条)。

借家条件についての協議が整わないとき、借家の申出が多数あり全員が割当を受けられないときの問題は、1で述べた通りです。

3 地主は承諾したとみなされる「借地権優先譲受権」

滅失した建物の借家人は、その建物が建っていた土地が借地である場合には、当該政令施行の日から2年以内にその借地人に申出ることによって、その借地権の条件にて優先的に譲り受けることができます(同法第3条)。

この借地権の譲渡については、土地所有者は自動的に承諾したものとみなされてしまいます(同法第4条)。

建物が滅失したとはいえない場合に発生する借主側からの主張

以上に対し、滅失したといえない場合には、賃貸借契約は終了しません。

もっとも、貸主としては、借主が以下のような主張をした場合にはその要求に応じなければならないでしょう。

1 借主から建物を修繕するよう請求

貸主には、借主がその建物を使用するのに必要な修繕をする義務があります(民法第606条第1項)。よって、建物は滅失しなかったが、借家人から建物の修繕するよう請求があったような場合、修繕に応じなければなりません。もしも貸主がこれを拒絶した場合、借主は自ら修繕してその費用を直ちに償還できるとされています(民法第608条第1項)。この場合に、貸主がその償還に応じなければ、借主は毎月支払う家賃と修繕費を相殺することができます。

2 借主から家賃の減額を請求

賃貸目的物の損傷が、建物の一部の滅失といえるほど大きなものであれば、借主による家賃の減額請求が認められます。その割合は滅失した部分の割合に応じて減額されることとなります(民法第611条第1項)。

よって、貸主は、借主から家賃の減額を請求された場合には、滅失した割合にしたがった賃料の減額請求に応じなければなりません。

土地の場合建物の滅失に影響されない

土地の賃貸借の場合、地上の建物が滅失したとしても、賃貸借の目的物である土地が無事である以上、賃貸借契約は消滅しません。よって、貸主は、震災後も引き続き賃料を収受することができるとともに、借主に対して引き続き使用収益させる義務を負うこととなります。

立退きが認められる場合はあるか?

滅失には至らないが、損傷の程度が激しく、建て替えしたほうがよいと考えられる場合においては、「正当事由」が認められれば、期間の定めある賃貸借契約においては期間満了半年~1年前に通知することにより、更新を拒絶することができ、期間が満了すれば立ち退きを請求することができます(借地借家法第26条、第28条)。一方、期間の定めのない賃貸借契約においては、「正当事由」が認められれば賃貸借契約を解約することができ、解約の申出後6か月経過すれば立ち退きを請求することができます(借地借家法第27条1項、第28条)。そして「正当事由」の有無は、貸主・借主双方の建物使用の必要性を主たる判断基準とした上で、建物の損壊の程度、修繕にかかる費用と修繕によって延びる耐用年数、立退きによって受ける借主の不利益、家賃の額、立退料支払の有無とその金額等様々な要素を考慮して総合的に判断されます。

では、建物の修繕に多額の費用を要するという事情があることが借家契約の解約を申し入れる「正当事由」となるでしょうか。前述のように、地震で建物の修繕に多額の費用を要するということが、借地借家法第28条の「正当事由」にあたるかどうかは、一概に断定できない微妙な問題です。ですので、最終的には「そこまでの修繕費用を家主に負担させることが酷かどうか」という点について、裁判所が実質的に判断し、倒壊の危険を避けるためには建替えにも匹敵する大規模な修繕をしなければならないと認められるようなケースでは、「正当事由」があると判断される可能性があります。

執筆者

元榮 太一郎 代表弁護士

元榮 太一郎 代表弁護士(第二東京弁護士会所属)

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