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法コラム

家主と地主×弁護士法人法律事務所オーセンス

家主と地主 第3回第38号

更新料有効判決で変わる賃貸借契約

平成23年7月15日、最高裁は、更新料返還請求等に関する3つの事件全てについて、賃借人側の更新料は無効との主張を認めず、「更新料は消費者契約法10条に違反せず有効である」として、更新料について賃貸人側勝訴の判決を下しました。これにより、更新料契約は有効となり、今後も契約書に盛り込むことができます。さらに、「更新料契約は無効だから支払う義務はない」と主張して更新料の支払いを怠っていた賃借人に対しても適法に更新料を請求できることとなります。

1 最高裁はどのような判断をしたのか

賃借人側は、更新料契約は消費者契約法10条に違反し、無効であると主張していました。

消費者契約法とは

そもそも消費者契約法とは、契約関係に慣れない消費者と経験豊富な事業者との間には、契約を結ぶにあたっていろいろな面で実力差があるので、消費者が不利益な契約を結んでしまった場合には、一定の条件のもとで、消費者を保護してあげましょう、という消費者保護に厚い法律です。

そして、消費者契約法10条は、「民法 、商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」と規定しています。

簡単に説明すると、(1)民法や商法といった法律で定められている内容とくらべて消費者に不利な契約条項で、(2)契約関係は信頼と誠実を基本とするべきだという「信義誠実の原則」に反するような、消費者の利益を一方的に害する契約条項は、無効になるというものです。

賃借人側の主張

賃借人側としては、更新料契約がこのような消費者契約法10条に違反するから無効だと主張しています。つまり、賃借人側としては、更新料契約は民法の任意規定(法律の規定のうち、①法律の規定内容と、②当事者の合意内容、が異なる場合に、②が優先するもの)が適用される場合に比較し、消費者である賃借人の権利を制限し義務を重くするものである。加えて、信義誠実の原則に反して賃借人の利益を一方的に害する契約にあたり、消費者契約法10条に違反して無効であると主張していました。

最高裁判所の判断

これに対して、最高裁判所は、「賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条にいう『民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの』に当たらないと解するのが相当である。」としました。

以上を踏まえ、審理した3件の事件全てについて、「特段の事情が存在するといえず、これらを消費者契約法10条により無効とすることはできない」として更新料契約は有効であるとの判断を下しました。

2 更新料の支払いを怠っていた賃借人に対しても更新料請求できる

今回の更新料契約有効の判決を受けて、「以前から、賃借人が『更新料契約は無効だから更新料を支払う義務はない』と主張して、支払いを拒んでいたのですが、最高裁判決が出たので、更新料を請求して良いでしょうか?」という法律相談も寄せられています。

結論からしますと更新料の支払いを怠っていた賃借人に対して更新料請求は可能です。

そもそも更新料契約が有効であることから、賃借人に対する請求が可能となるのもある意味当然といえます。また、最高裁判所は、滞納している更新料に加えて、遅延損害金の支払いも認められる旨判示しています。

よって、更新料を滞納されている場合、更新料に加えて、更新料の本来の支払い期日から遅延した期間について遅延損害金を請求することができます。

3 家主の期待に反して契約条項が無効にならなくなる

このように、長らく賃貸業界をにぎわせた更新料問題は、今回の最高裁判決によって、法的には、原則有効という判断に落着しました。

更新料は法的に有効という判断が確定したとしても、現在のような空室率が高止まりする借り手優位の市場環境では、借り手に追加負担を生じさせる更新料は契約条件に盛り込みにくいという実情もあるでしょう。

その意味では、法的には有効であっても、借り手確保の観点で更新料という制度自体が縮小していく傾向にあるともいえます。

しかし、更新料契約→有効、敷引特約→有効と立てつづけに家主の利益に配慮した最高裁判決が続いたことは、契約条件は契約者同士が自由に定めることができるという「契約自由の原則」を重視する最高裁の考え方が読み取れます。この最高裁の傾向が続く限り、家主の期待に反して契約条項が無効になるという予期しないケースの減少が見込まれるという意味で賃貸経営にとって朗報と言えるでしょう。

最高裁判決で敷引特約も有効に

更新料の有効判決から遡ること3日、平成23年7月12日には、敷引特約(賃借人が退去する際に、賃貸人が敷金から一定金額を取得すると定めた特約)についても原則として「有効」であるとする判断が下されました。

敷引特約についても、更新料契約と同様に消費者契約法10条に違反し、無効なのではないかが争われていました。

この点について最高裁判所は、「賃貸借契約においては、本件特約のように、賃料のほかに、賃借人が賃貸人に権利金、礼金等様々な一時金を支払う旨の特約がされることが多いが、賃貸人は、通常、賃料のほか種々の名目で授受される金員を含め、これらを総合的に考慮して契約条件を定め、また、賃借人も、賃料のほかに賃借人が支払うべき一時金の額や、その全部ないし一部が建物の明渡し後も返還されない旨の契約条件が契約書に明記されていれば、賃貸借契約の締結に当たって、当該契約によって自らが負うこととなる金銭的な負担を明確に認識した上,複数の賃貸物件の契約条件を比較検討して、自らにとってより有利な物件を選択することができるものと考えられる。そうすると、賃貸人が契約条件の一つとしていわゆる敷引特約を定め、賃借人がこれを明確に認識した上で賃貸借契約の締結に至ったのであれば、それは賃貸人、賃借人双方の経済的合理性を有する行為と評価すべきものであるから、消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付された敷引特約は、敷引金の額が賃料の額等に照らし高額に過ぎるなどの事情があれば格別、そうでない限り、これが信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものということはできない(最高裁平成21年(受)第16- 5 -79号同23年3月24日第一小法廷判決・民集65巻2号登載予定参照)。」として、敷引契約も原則として有効であるという判断を下しました。

執筆者

元榮 太一郎 代表弁護士

元榮 太一郎 代表弁護士(第二東京弁護士会所属)

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