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法コラム

家主と地主×弁護士法人法律事務所オーセンス

家主と地主 第4回第39号

定期借家契約の有効性

前回、最高裁による、「更新料は原則として有効」という判決について説明しました。これにより、更新料契約は原則として有効となり、契約時に定めた更新料を適法に取得することができます。

この更新料の有効性に加えて、「正当の事由」(借地借家法28条。賃借人が当該物件を使用する必要性より、賃貸人が当該物件を使用する必要性の方が高い等の諸事情。)がない限り原則として賃貸借契約が継続してしまう、という点もまた賃貸人にとっては更新のタイミングにおける重要な問題です。

まず、賃貸期間満了によって賃貸借契約を終了させたい場合には、賃貸期間満了の1年前から6か月前までの間に、賃借人に対して更新をしない旨の通知をする必要があります。このような通知をしない場合には従前と同一の条件(ただし、その期間は、定めがないものとなります。)で契約を更新したものとみなされます(借地借家法26条1項。このような更新を「法定更新」といいます。)。ただし、ただ通知をすればよいというわけではなく、先ほど説明した「正当の事由」があって初めて通知が有効なものとなり、賃貸期間満了によって賃貸借契約が終了することになります。ここで問題なのは、裁判例上、「正当の事由」がそう簡単には認められていないということです。したがって、実際上、賃貸期間満了による賃貸借契約の終了が認められるケースは極めて限られており、賃借人との間で合意更新がされない場合であっても、ほとんどのケースにおいては、法定更新という形で賃貸借契約が更新されることになります。

このように原則として賃貸借契約が更新されてしまい、賃貸人の予測通りに物件の明け渡しを求めることができない、という問題に対処するため、「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」によって、借地借家法38条が改正されることになりました。賃貸期間が満了した時に、更新を認めず賃借人に対して賃貸建物の明け渡しを請求することを可能とする方法、すなわち『定期建物賃貸借契約』が認められるようになったのです。

これにより、賃貸人は次々と新しい賃借人に賃貸することができるようになりました。一般の賃貸借契約では、契約期間が長いこともあり、家賃を設定した当初の家賃相場と現在の家賃相場に乖離がある場合、更新料を取ったり家賃を値上げしたりしても、なかなか現時点での家賃相場を反映させたタイムリーな家賃収入を得ることは難しい状況にありますが、定期建物賃貸借契約を利用することにより、現時点での家賃相場を反映させたタイムリーな家賃収入を随時得られるようになりました。また、定期建物賃貸借契約は、不動産賃貸事業における賃貸物件の管理運用の自由度を高め、多目的・多用途向けの建物賃貸を可能にしました。

このように、定期建物賃貸借契約には賃貸人にとって大きなメリットがあります。 もっとも、定期建物賃貸借契約はその制度内容があまり知られておらず、また、通常の賃貸借契約よりも賃料が低く設定されるケースも多いため、いまだ普及しているとは言いがたい状況です。

そこで、以下では通常の賃貸借契約と比較しつつ、定期建物賃貸借契約の重要なポイントについて説明していきます。

1 中途解約の効力

定期建物賃貸借契約においては、あらかじめ定められた期間までは有効に契約が存続することが保証されているものですから、中途解約は認められないとも思われます。しかし、借地借家法は、居住用建物の定期建物賃貸借契約においては、契約期間中に賃借人にやむを得ない事情(例えば転勤、療養、親族の介護など)が発生したことによってその物件に住み続けることが困難となった場合には、賃借人から解約の申し入れができるとしています(借地借家法第38条第5項)。

この場合、解約の申し入れの日から1か月が経過すれば、契約が終了します。なお、この解約権が行使できるのは、床面積が200平方メートル未満の居住用建物を借りている賃借人に限られます。床面積が200平方メートル以上の居住用建物の場合には、中途解約に関する特約があれば、特約に従うことになります。

2 具体的な手続きについて

(1)契約書の作成

契約締結に際して契約書面を作成することが絶対に必要な条件です。これは、借地借家法38条1項が、「公正証書による等書面によって契約するときに限り」契約の更新がないことを定めることができる、と規定しているからです。

よって、口頭の契約では定期建物賃貸借契約を締結することはできません。したがって、賃借人が口頭で「賃貸期間満了の○年○月○日に必ず明け渡します。」と誓約しても、定期建物賃貸借契約にはなりません。法定更新のある通常の賃貸借契約とされてしまいます。

なお、法律上は公正証書によって契約することを勧めているように読み取れますが、公正証書によることは必ずしも必要ではありません。

(2)契約締結前の説明義務

定期建物賃貸借契約を締結する前に、家主はあらかじめ賃借人に対して次のように説明する義務を負っています。もしこの義務を怠れば、自動的に通常の賃貸借契約が成立してしまいます。

説明する内容は以下の3点です(借地借家法38条2項)。

  • ◆1点目
    当該建物賃貸借は、借地借家法38条1項の規定によりなされる定期建物賃貸借である、ということ
  • ◆2点目
    この賃貸借は契約の更新がない、ということ
  • ◆3点目
    定められた賃貸期間の満了によって賃貸借は終了する、ということ

また、説明の方法についても、借地借家法は必要な手続きを定めています。具体的には、先ほど述べた3点が記載された書面を交付して説明する義務を賃貸人に課しています(借地借家法38条2項)。

また、期間満了前に、賃借人に対して、期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければなりません。

この通知は、賃貸借契約の期間が満了する1年前から満了の6か月前までの間に賃借人に届いていなければなりません(借地借家法38条4項)。もし、通知がなければ、賃借人に対して、「期間満了で賃貸借契約は終了しているから明け渡せ」と主張しても、賃借人の側から拒絶されたら、明け渡しを強制することができません。なお、この通知は定期建物賃貸借契約の賃貸期間の約定が1年未満である場合には不要です。

3 まとめ

以上のように、定期建物賃貸借契約や定期借地契約は期間通りに契約が終了する、という点で賃貸人にとってメリットが大きい契約です。まだまだその制度の内容が一般的に知られておらず、また、通常の賃貸借契約よりも賃料が低く設定されるケースも多いため、普及しているとは言い難い状況です。しかし、すでに述べたようなメリットを考えれば、今後広まっていく可能性は十分にあるといえるでしょう。

  • 定期建物賃貸契約
  • 通常の借家契約
1 更新の有無
  • 期間満了により終了。更新はしない。
  • 正当事由(借地借家法28条)がない限り継続。
2 中途解約の可否
  • ① 床面積が2000平方メートル未満の居住用建物で、やむを得ない事情により、生活の本拠として使用することが困難となった賃借人からは、特約がなくても法律により、中途解約ができる。
    ② ①以外の場合は中途解約に関する特約があればその定めに従う。ただし、①の場合よりも不利な特約は無効。
  • 正当事由(借地借家法28条)がない限り継続。
3 契約時の具体的な手続き
  • ① 公正証書等の書面による契約に限る。
    ② 「定期建物賃貸借であり、契約の更新はなく、期間の満了によって賃貸借が終了する」ことを、あらかじめ書面を交付して説明しなければならない。
  • 書面でも口頭でも可。

執筆者

元榮 太一郎 代表弁護士

元榮 太一郎 代表弁護士(第二東京弁護士会所属)

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