文字サイズ
無料相談のお問合せはこちら

全国対応 | 24H受付 | 土日も相談可能
初回60分まで無料法律相談実施中!

法コラム

家主と地主×弁護士法人法律事務所オーセンス

家主と地主 第5回第40号

「隣の入居者がうるさい」というクレームを受けたら?

質問内容
賃貸業を営んでいます。同じマンションで隣同士に住む賃借人にAさんとBさんがいます。
先日、「隣のBさんがうるさいので何とかして欲しい」というクレームがAさんからありました。しかし、他の入居者の方に事実関係を確認すると、実はBさんはそれほどうるさくないようです。
それにも関わらず、Aさんは賃貸人である私にクレームをつけてくるだけでなく、逆にBさんの部屋側の壁を叩いたり大声で「うるさい!」などと文句を言ったりするなど、大きな騒音を出して逆にBさんに迷惑をかけているようです。この場合、どのように対処したらよいでしょうか?

法的に禁止される騒音とは?

賃貸人は、賃借人に対して、賃貸物件を使用収益させる義務を負っています(民法601条)。したがって、賃貸物件が居住用物件の場合であれば、その賃貸物件が「居住に適していない状態」となっているときは、賃貸人にはこの「居住に適していない状態」を解消すべき義務があります。

しかし、共同生活が前提となっているアパートのような建物においては、隣室の生活騒音にある程度さらされることは避けられないことであって、隣室間の音を互いに完全に遮断することは実際上不可能といえるでしょう。

したがって、隣室の賃借人が出す生活騒音が、社会生活上通常受忍すべき限度を超える場合にはじめて「居住に適していない状態」が生じているといえることになります。この場合には、賃貸人としては、隣室に居住する賃借人との関係で、騒音出している賃借人に騒音を出すという迷惑行為をやめさせる義務が生じることになります。

では、社会生活上受忍すべき限度とは、どの範囲のことをいうのでしょうか。

この点に関しては、県や市が定める近隣騒音に関する環境基準(40〜60デシベル)が一つの基準になります。もっとも一般的には、騒音の程度、期間(時間帯)、態様、居住・周辺環境、近隣同士の交渉経緯等、諸般の事情を総合考慮して、社会通念上受忍限度を超えた騒音か否かを個別具体的に判断していくことになるでしょう。

受忍限度の範囲を超えている場合、そもそも賃貸借契約を解除できるか?

では、注意しても受忍限度を超える騒音を出し続ける賃借人に対する賃貸借契約の解除はどのように行ったらよいでしょうか?

まず、そもそも賃貸借契約を解除できるかという問題があります。

賃借人には、賃貸物件の用法に従って使用収益しなければならない義務(用法遵守義務)があります(民法616条、594条1項)。賃貸借契約書の中に「賃借人は騒音などにより近隣へ迷惑をかけないように使用する」旨の特約があればもちろん、このような特約がなくても、近隣への迷惑行為をしないようにするという義務も用法遵守義務に含まれると考えられます。したがって、この用法遵守義務違反を理由に賃貸借契約を解除することは可能です。

「契約違反=解除できる」、というわけではない?

もっとも契約違反があっても、「信頼関係を破壊したと認めるに足りない特段の事情」がある場合には、例外的に賃貸借契約を解除することはできません。

そこで、いかなる場合に信頼関係が破壊されたといえるかが問題となります。

ご相談のケースと類似する裁判例で、マンションの賃借人が、隣の部屋の壁をたたいたり大声で怒鳴ったりするなどの隣人に対する嫌がらせ行為を続けたという事例があります。この事例では、賃借人は騒音を立てたり、風紀を乱すなど近隣の迷惑となる一切の行為をしてはならないという特約のある賃貸借契約において、隣室からの騒音が日常生活上通常発生する騒音として我慢すべきものであったにも関わらず、隣人に対して何回も執拗に音がうるさいなどと文句を言い、壁をたたいたり大声で怒鳴ったりするなどの嫌がらせ行為(迷惑行為に耐えかねた隣人が自ら退去せざるを得なくなるほどのもの)を継続的に行ったことについて、「近隣の迷惑となる行為」があるとして賃貸人による賃貸借契約の解除を認めました(東京地判平成10年5月12日判時1664号75頁)。

この裁判例では、近隣の住民が退去せざるを得なくなるほどの嫌がらせ行為があったことが重視され、「信頼関係が破壊された」と判断されたようです。

ご相談のケースでも、迷惑行為の程度や事前に賃貸人からの注意があったにも関わらずこれを全く聞き入れなかったという事情の有無等を考慮して、「信頼関係が破壊された」と判断されれば賃貸借契約を解除できるでしょう。

受忍限度の範囲を超えていない場合はどう対応すればいい?

これに対して、Bさんの出す騒音が社会生活上受忍すべき限度を超えていない場合、どのように対応すべきでしょうか。

受忍限度の範囲を超えていない騒音であれば、賃貸借契約に特別な定めがある場合を除いては、騒音を防止しないからといって、賃貸人側に契約違反があるとはいえません。

もっとも、受忍限度の範囲内であっても実際に近隣に生活上の困難が生じていることは少なくありません。

もし近隣のトラブルが生じた場合には、トラブルが長期化したり、トラブルが原因で賃借人が退去したり、新しい賃借人の募集が困難になるなどの大きな問題に発展する可能性もあります。

そのため、賃借人から騒音の相談を受けた場合は、よく相談を聞き、賃貸人の側で生活に支障が生じる騒音であると感じた場合には、積極的に近隣の賃借人に対して申し入れを行い、賃貸人として近隣同士の住みやすい環境を作っていく必要があるでしょう。

では、具体的な解除方法は?

具体的な解除の方法としては、解除する旨の意思表示を、賃借人に対して行う必要があります。

契約解除にあたっては、まずは騒音行為を止めるように求めるとともに、それでも騒音行為を止めない場合には賃貸借契約を解除する旨を通知することになります。

通知の方法としては、解除の意思表示を行ったことが後から争われないように、配達証明書付きの内容証明郵便を利用して解除通知を発送します。内容証明郵便を使えば、どのような内容の書面を発送したのか、その書面がきちんと相手に配達されたのかを証拠として残すことができます。

もし相手が解除通知を送っても出て行かない場合には?

もし、このような解除通知を送っても出て行かない場合には、裁判所の手続きによる救済を求める必要があります。

詳しくは弁護士に相談されるのがよいでしょう。

迷惑行為で契約解除が認められた事例にはどのようなものがある?

裁判例では、以下のような事例において賃借人の迷惑行為を原因とする賃貸借契約の解除が認められています。

賃借人がアパートの通路に木材などを置いて他の居住者の通行を妨害し、かつ、他のアパートの居住者の再三にわたる改善要求を一切拒否し、長期間にわたって通行妨害を継続した事例において、「庭や物置などを近隣に迷惑をかけないように使用する」という特約に違反したとして、裁判所は契約の解除を認めました(東京地判昭和51年5月27日)

賃借人がアパートの廊下に汚物を放置したり、一日中大音量でラジオを鳴らし続けたりしたため、短期間で他へ転居する者が続出した事案において、「近隣への迷惑行為禁止」の特約違反があったとして、裁判所は契約の解除を認めました。(東京地判昭和54年11月27日)。

執筆者

元榮 太一郎 代表弁護士

元榮 太一郎 代表弁護士(第二東京弁護士会所属)

プロフィール

バッグナンバー


セミナー実績

  • 不動産街頭無料相談会
    公益社団法人全日本不動産協会 東京都本部城南支部「不動産街頭無料相談会」森田雅也弁護士、嶋田葉月弁護士
  • 不動産街頭無料相談会
    公益社団法人全日本不動産協会 東京都本部多摩北支部「不動産街頭無料相談会」森田雅也弁護士
  • 不動産街頭無料相談会
    公益社団法人全日本不動産協会 東京都本部城南支部「不動産街頭無料相談会」竹中恵弁護士、嶋田葉月弁護士
詳しく見る
tel:0120-888-737 お問合せはこちら
無料相談のお問合せはこちら

全国対応 | 24H受付 | 土日も相談可能
初回60分まで無料法律相談実施中!