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法コラム

家主と地主×弁護士法人法律事務所オーセンス

家主と地主 第7回第42号

入居者が物件内で死亡した場合の対応

法律事務所オーセンスへは、家主さんから「入居者が物件内で死亡した場合」に発生する数々の法律相談が寄せられます。

今回は、入居者が物件内で死亡した場合に発生する法律問題について事例付きで説明していきます。

事例1

相談

所有物件で自殺が発生した場合、入居希望者へ事前説明は必要?

自分が家主となっている物件で2年前に自殺がありました。サラリーマンに貸していたのですが、ギャンブルなどで多額の借金をしていたため、これを苦に自殺したようです。この場合、入居希望者に対し、事前に自殺物件であることを伝えなければならないのでしょうか?

回答

原則、家主にも説明義務がある、ただし5年以上たてば不要の判示も

このケースでは入居希望者に対して事前に自殺物件であることを伝えなければならないでしょう。

日本は毎年3万人以上もの自殺者がおり、法律事務所オーセンスにも、事例と同様の相談が家主さんから度々寄せられます。

まず、宅建業者には、宅地建物取引業法(以下「宅建業法」といいます。)上、入居希望者に対して、賃貸借契約が成立するまでの間に重要事項を説明する義務があり(宅建業法35条)、物件で自殺事故があったという事実は、この重要事項に含まれます。

しかし、家主さんには、宅建業法上の規制が及びませんので、宅建業法上の重要事項説明義務はありません。

それでは、家主さんには、入居希望者に対して物件で自殺事故があったことを告知する義務がないかというと、そうではありません。

東京地裁平成19年8月10日判決(以下「平成19年判決」といいます。)では、自殺があった物件に居住することは、一般的に、心理的に嫌悪感を抱く事柄であるから、家主さんがそのような物件を賃貸しようとするときは、原則として、入居希望者に対して物件で自殺事故があった旨を告知すべき義務があると判示されています。

ただ、告知しなければならないといっても、自殺事故後いつまでも説明しなければならないとすると、健全な賃貸経営にとって大きな障害となります。また、時の経過とともに、「人が自殺した物件である」ことに対する入居希望者の心理的嫌悪感も薄まっていくと考えられます。

したがって、一定期間の経過により、家主さんの告知義務はなくなると考えられます。

しかし、自殺事故後何年間告知する必要があるかという点については、決まった年数はありません。要は、自殺事故による心理的な嫌悪感が告知を不要とするまで薄まるのに必要な年月はどの程度か、という観点から判断されることになります。考慮要素としては、自殺事故が発生した物件の場所(大都市か地方都市か)、自殺事故の状況、世間の耳目を集めるような事故だったかどうかといった点が挙げられます。

ちなみに、東京地裁平成21年6月26日判決は、その傍論として、自殺から5年以上が経過しているので、過去に自殺があったという事実は、家主さんが入居希望者に対して当然に告知しなければならない重要な事項ではないと判示していますので、参考になるでしょう。

事例の場合、まだ死後2年間しか経過していないということなので、その他の事情にもよりますが、自殺物件であることを入居希望者に対して伝えなければならない可能性が高いといえます。

事例2

相談

入居者の相続人に対して、損害賠償請求はできるのか?

入居者が自殺した物件について、自殺後4年もの間、いくら募集しても全く入居希望者が現れませんでした。つい最近賃料を周辺相場の半額にしたところ、ようやく「住みたい」という入居希望者が現れ、契約に至りました。自殺がなかったのであれば、すぐに入居者が決まっていた可能性が高いと思っています。少なくとも、4年間も入居者が決まらないということはなかったはずです。この場合、自殺した前の入居者の相続人に対して損害賠償請求できないでしょうか?

回答

注意義務違反となるため、家賃2年間分の請求が可能

このケースでは相続人に対して損害賠償請求できる可能性があります。

前提として、家主さんが入居者の相続人に対して損害賠償請求をするためには、自殺した入居者に契約違反がある必要があります。この点について、平成19年判決は、入居者には物件内で自殺しないように注意する義務があり、自殺した場合にはこの注意義務違反という契約違反があると判示しています。したがって、家主さんは、自殺した入居者の相続人に対して、自殺事故が発生したことによって被った損害の賠償を請求することができます。

次に、どの範囲までの損害が認められるのかについて説明します。

まず、自殺の痕跡をなくすための原状回復費用は問題なく認められます。

では、自殺事故により貸せなくなった期間の賃料や、貸すために減額せざるをえなくなった賃料について、どの範囲まで損害として認められるのでしょうか。

この点について、平成19年判決では、諸般の事情を考慮した上で、自殺事故から1年間分の賃料の全額と、その後2年間分の賃料の半額が損害であると認定されています。つまり、平成19年判決では、自殺事故から3年後には従前の賃料で貸すことが可能であったので、それ以降については家主さんに損害がないと判断されています。類似の事案において損害の範囲が問題となった東京地裁平成22年9月22日判決も、平成19年判決と同様の判断をしています。

したがって、事例の場合にも、具体的な事情によりますが、家主さんは入居者の相続人に対して、少なくとも合計2年間分の賃料の損害賠償請求が認められる可能性があります。

事例3

相談

高齢入居者が建物内で病死、事実を告知する義務があるのか?

自分が家主となっている物件を81歳の高齢者に賃借していました。先日、この入居者が物件内で病死していたことが分かりました。この入居者に身寄りがなかったために、死後1年もの間、病死していたことが分かりませんでした。死亡発覚直後に物件に入ると、室内は腐乱した死体の影響で異臭が立ち込めていましたが、その後のクリーニング業者による清掃により、異臭は全くなくなりました。死亡が発覚してから3ヶ月後、新たな入居希望者が現れました。この場合、入居希望者に対して前の入居者が物件内で病死していたという事実を伝えなければならないのでしょうか?

回答

長期間放置されていた場合、家主に告知義務が発生する

このケースでは、次の入居希望者に対し、前の入居者が病死した物件であることを伝えた方がよいでしょう。

通常の病死の場合には、基本的には告知すべき義務はないと考えられています。しかし病死の態様によっては、入居希望者が心理的に嫌悪感を抱く事柄といえる場合もあるので、自殺の場合と同様に、入居希望者に対して病死があったことを告知すべき義務が発生する場合もありえると考えられます。

例えば、病死した後長期間放置され、死体が腐乱している状態で発見されたような場合には、入居者が心理的に嫌悪感を抱くと考えられ、告知義務が発生すると考えられます。事例のように、死後1年も死体が放置されていた場合には、家主さんに告知義務が認められる可能性があるので、前の入居者が病死した物件であることを伝えた方がよいでしょう。

執筆者

元榮 太一郎 代表弁護士

元榮 太一郎 代表弁護士(第二東京弁護士会所属)

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  • 不動産街頭無料相談会
    公益社団法人全日本不動産協会 東京都本部城南支部「不動産街頭無料相談会」森田雅也弁護士、嶋田葉月弁護士
  • 不動産街頭無料相談会
    公益社団法人全日本不動産協会 東京都本部多摩北支部「不動産街頭無料相談会」森田雅也弁護士
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