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法コラム

全国賃貸住宅新聞エクスプレス×弁護士法人法律事務所オーセンス

全国賃貸住宅新聞 第32回第1054号

賃貸人が修復義務の履行を行った場合賃借人に生じた損害の賠償義務を負う

不動産賃貸借における賃貸人の重要な義務として、賃貸人の修繕義務があります(民法第606条第1項)。賃貸人がこの修繕義務の履行を怠った場合、賃借人は、賃貸人が修繕義務を履行するまで、目的物の破損の程度が甚だしいときは賃料全部の支払いを、破損の程度が甚だしいとまではいえないときは賃料の相当部分の支払いを、それぞれ拒絶することができます(民法第611条第1項参照)。つまり、賃貸人は、修繕義務を履行するまで、賃借人に対して、賃料の全部又は一部を請求することができなくなります。

では、例えば、事業用店舗の賃貸借契約に基づき、賃借人が営業を始めたものの、賃貸人が修繕義務を履行しなかったことにより営業できなくなった場合、賃貸人は、どのような責任を負うことになるのでしょうか。賃貸人が賠償すべき金額が大きくなり得る、事業用店舗を賃貸しているケースを前提に、賃借人に生じた「営業利益喪失」という損害について考えてみましょう。

まず、賃貸人の債務に履行不能が生じていた場合、例えば、賃貸人の不注意で火事が発生し当該物件が滅失してしまった場合は、賃貸借契約は当然に終了します。この場合、原則として、履行不能の時点から、賃借人が別の店舗を借りて従前と同じ程度の収益を上げるに至るまでに失われた営業上の損失が、賃貸人が賠償すべき賃借人の損害と判断される傾向にあります。その期間は、個別の事情により異なり、6か月間と判断した裁判例もあれば、2年間と判断した裁判例もあります。

これに対し、履行不能とまではいえない場合、例えば、排水溝の老朽化による水漏れが生じて営業できなくなったものの、比較的簡単に水漏れの修繕ができる場合は、賃貸借契約は継続していると判断されます。この場合、賃貸借契約に基づく賃貸人の修繕義務も存続するため、賃貸人が水漏れを修繕しないまま4年を経過したときには、その4年間に失われた賃借人の営業上の損失すべてが、賃貸人が賠償すべき賃借人の損害であると考えることもできます。しかしながら、賃貸人が水漏れを改善しないため営業を再開できる見込みがないのであれば、賃借人としては、別の物件を探して営業を再開するなど合理的に行動すべきであると考えられます。そのため、賃借人が漫然と営業上の損失を増加させたのであれば、その損失は賃貸人が賠償すべき賃借人の損害とはいえないと考えられ、その旨判断した最高裁の判例もあります(最高裁平成21年1月19日判決)。

賃貸人が修繕義務の履行を怠った場合、賃料の一部又は全部を請求することができなくなるほか、賃借人に生じた損害を賠償する責任が生じることになり、その責任の範囲をめぐって紛争が生じた場合には、紛争の解決までに相当の時間と費用を要することになります。そのため、賃貸人として、迅速かつ誠実に対応して修繕義務を果たすことが、賃貸経営にとって重要であるといえます。

執筆者

森田 雅也 弁護士

森田 雅也 弁護士(東京弁護士会所属)

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